つれづれやな

「これがはじめての日本食体験なんだよ」

　今回の旅の目的は色々とあったのですが、自分的に一番大きな経験はやっぱり虫試食会です。ドイツで行われた学会の虫関係の発表と、オランダ・ワゲニンゲン大学での食用虫セミナーで日本の虫佃煮を試食してもらって、写真集を見てもらって。日本の虫食紹介です。
　ここでは私は完全にアシスタントなのでボンド・ガールならぬヘボ（クロスズメバチの通称）・ガールだなと自称しました。ガールと言うには年齢が行き過ぎているのが突っ込み所ですが、アジア人は若く見えるからいいんです。ばっくれます。

　ドイツではイナゴとカイコの佃煮を参加者の先生方に試食してもらいました。トップの言葉は、あるドイツ人先生がつぶやいた言葉です。何かいろいろと間違ったことをしてしまった感がありますが、人生いろいろだしねえ。ま、いっか（笑）。

　オランダ・ワゲニンゲン大学は行くまで知らなかったのですが、昆虫学の総本山みたいな所でした。一棟まるまる昆虫学の校舎があって、世界各国から昆虫を研究する学生さんたちが集まって来ています。日本の大阪から来ている学生さんもいました。オランダは農業が有名なので、害虫駆除とかの流れかなと話していたのですが、食べる方も興味津々みたいです。食料問題からの視点でしょうか。



　こちらでは、レトルトのご飯を持って行って、ご飯とヘボの缶詰めを混ぜ合わせてヘボ飯（これがいちばんおいしいと思うのですよ！私は）を作りました。調理する為に「マイクロウエーブ（電子レンジ）はあるか」と聞いたら「ない」と言われました。じゃあ、ボイルするからと行ったら、実験室に連れて行かれ、バーナーを準備してもらいました。ナベは学生さんが下宿から持って来てくれたので何とか確保しましたが・・・。人生の中で理系の学生でもないのに、まさか実験用バーナーで調理する日が来るとは。しかも、オランダで。常々「何かすごくくだらないコトでいいから世界最初ってのやってみたいなあ」と思っていました。きっとオランダ・ワゲニンゲンの実験室でヘボ飯を作ったのは私が世界初だろうな、と思いました。うん、世界初GET。



　で、やはり食は見た目から、というコトでこんな感じにディスプレイしてみました。お皿は百均で買った竹ザルと竹皮、それに和紙の色紙。折り紙の鶴など添えてみました。オランダ・チーズと合わせてオードブル風のも作ってみたり。ヘボ飯はレンゲを添えて食べやすく。下には手ぬぐいをランチョンマット代わりに。ヘボ・ガール、工夫しましたよ。

　ドイツ先生方もワゲニンゲン学生さんたちも最初はおっかなびっくり恐る恐るだったのですが、食べてみたら「うん、イケるね！」となかなか好評でした。私はニオイがあるのでカイコはちょっと苦手ですが、オランダでは逆にカイコの方が好評でした。チーズ好きの国だからニオイは風味になっちゃうのでしょうか。逆に味にクセのないイナゴは形状と足が歯にひっかかるのが難点か、カイコより売れは悪かったです。私がイチオシのヘボ飯はヘボ自身より日本風のご飯に抵抗があるようで、売れ行きは低迷。（あちらはパラパラのタイ米が一般的で、しっとりねっとりな日本米は馴染みがないようです）。ヘボ・ガール、無念！

　写真集も好評で、みなさんとっても興味深くご覧になっていました。まあ、欧州ではハチは害虫以外何モノでもないからねえ。おいしくって楽しいなんてびっくりだろうなあ。いつか串原のおじちゃんたちとオランダ・ヘボ狩りツアーに行けたらいいのにな、と思いました。欧州にもハチはいっぱいいますからね。

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